【2020.12.28に『関連記事まとめ』に関連記事リンクを追記しました】
打ち込みで作られた曲は機械的な調子もあって繰り返し聴くことでマンネリを感じてしまいます。
そこで使われている機能として「ヒューマナイズ機能」があり、決まった間隔から適当に音を前後にズラしたりベロシティを変化させたりすることで人間味を与え、聞き手に飽きさせない工夫ができます。
今回はCakewalk by BandLabでできるヒューマナイズ(ランダマイズ)の方法を説明します。
MIDIプラグインを使う
ヒューマナイズを適用したいMIDIトラックを選択し、FX欄を右クリックしてMIDIプラグインの挿入→Uncategorized→Qunatizeを選択。続けてVelocityも選択すると以下の画面が表示されます。
QUANTIZE(クォンタイズ)
QUANTIZE(クォンタイズ)はタイミングを調整するプラグインで、通常はMIDIのグリッドに揃える際に使いますがクォンタイズにはランダムにタイミングをずらす機能も持っています。
初期設定では一番近い16分のグリッドにMIDIノートの先頭を合わせるようになっていますが、設定を変更することでランダマイズ機能として使用することができます。
QUANTIZE(クォンタイズ)でのヒューマナイズ設定
ヒューマナイズとして使用する場合、まずは以下のように設定します。
MIDIノートの開始位置をクォンタイズせずにランダマイズ機能のみ使用するようになります(このときRandomの下のEnableボタンを有効にすること)
この設定で得られる結果は以下のものになります
- クォンタイズはされない
- MIDIノートの長さは変わらない
- 開始位置のみ 最大で± 1/320ずれる(32分音符の10%が最大)
ポイントはWindowを0%にするところです。
Windowはクォンタイズする範囲を決める設定で、100%に近いほどクォンタイズの対象となるMIDIノートの範囲(グリッドからの距離)が広がり、0%でクォンタイズされないようになります。
またResolutionはクォンタイズ時のグリッドの分解能を設定しますが、この値が小さいほどRandomの分解能があがるため、Resolutionは1/32noteか1/32note Tripletsを選んだほうが良いでしょう。
QUANTIZE(クォンタイズ)の使い方
ここではQUANTIZEの各パラメータの説明を記載しますが、必要のない方は先へ進んでください。
Start Times:
ONにするとMIDIノートの開始タイミングをグリッドに合わせます(Random含む)
Durations:
ONにするとMIDIノートの長さをグリッドに合わせます(Random含む)
Resolution:
クォンタイズの分解能(グリッドの細かさ)を設定します。
Tuplet:
クォンタイズ時に分解能より細かい設定をする際に使用します。
Strength:
100%時にクォンタイズ対象のMIDIノートをグリッドに合わせます。値が小さくなるにつれてMIDIノートの移動距離が短くなります。
Swing:
アルペジオをクォンタイズする際にスイングさせる場合に使用します。
50%では等間隔(スイングしない)となり、値が大きくなると2音目が3音目へ、値が小さくなると2音目が1音目へ近づきます。
Window:
クォンタイズされる範囲の設定です。100%でグリッドからどんなに離れていてもクォンタイズの対象になり、0%でクォンタイズがされません。
Offset:
クォンタイズ後のMIDIノート位置のオフセットを設定します。0でグリッド上となり、マイナスでグリッドより前に移動しプラスでグリッドより後ろに移動します。
Randomize:
クォンタイズ後のMIDIノート位置をランダムで前後に移動させます。
ここで設定する値は最大値となるため10%と設定するとResolutionに対して最大で前後10%のずれが発生します(Resolutionが1/32 note であれば最大で 1/320のずれとなる)
VELOCITY(ベロシティ)
VELOCITY(ベロシティ)はMIDIノートのベロシティを変化させることができます。
また、MIDIノートのベロシティを一定の値にしたり、指定した範囲でリニアに変動させたりすることも可能です。初期設定ではベロシティを全て100にするようになっています。
VELOCITY(ベロシティ)のヒューマナイズ設定
ヒューマナイズとして使用する場合、まずは以下のように設定します。
まずChangeを選択。Changeは現在のMIDIノートに加算(減算)する時に使用します。ここでは0を設定し、基準のベロシティは変更しないようにします。
次にRandomizeをONにし、Amount設定では加算するベロシティを設定します。
ここで得られる結果は以下のものになります。
- 基準のベロシティは変わらない
- 現在のベロシティに対して最大で±10の変化をランダムに与える
VELOCITY(ベロシティ)の使い方
ここではVELOCITYの各パラメータの説明を記載しますが、必要のない方は先へ進んでください。
「Set to」「Change」「Scale」「Limit」から1つ選択します。
Set to:
ベロシティを指定した値にします。110と設定するとすべてのMIDIノートのベロシティは110になります。
Change:
現在のベロシティの指定した値を加減算します。0は変化なしでプラスの値にすると加算し、マイナスの値にすると減算します。
Scale:
現在のベロシティを割合で変化させます。100パーセントでは変化なしで50パーセントだとベロシティが半分になります。
Limit:
設定した上下限の範囲外にあるヴェロシティを上限値または下限値にします。
Change:
MIDIノートに直接エフェクトをかける場合に使用しており、FX欄(MIDIプラグインの挿入)では使用できません。最小値と最大値を指定してリニアにベロシティを変動させます(下の図を参照)
図はChangeでベロシティ1~127に設定した場合
Gradually:
MIDIノートに直接エフェクトをかける場合に使用し、FX欄(MIDIプラグインの挿入)では使用できません。
現在のベロシティを割合で変化させますが、変化の割合を最小値(%)と最大値(%)で指定し割合をリニアに変動させます(Scaleと似てますが割合がリニアに変動)
Randomize:
チェックを入れることでランダマイズ機能をONにします。Randomizeは他の設定と同時に使用できます。RandomizeはAmountとTendencyでベロシティの変化方法の詳細を決めます。
Amount:
ランダムにベロシティを変動させます。ここで設定する値は変化を加えるベロシティの最大値となり、10と設定すると±10を元のベロシティに加算(減算)します。
Tendency:
Amountで設定した値のばらつき方向を設定します。
Amountが10でTendencyが0の場合は加算するベロシティが-10~10の間でまんべんなく変動しますが、Amoutがプラスの値になると加算するベロシティがプラス方向になる確率が高くなります。
関連記事まとめ【追記:2020.12.28】
Cakewalk by BandLabの使い方や秘訣
MIDIプラグインの使い方
QuantizeとVelocity以外のMIDIプラグインの機能や使い方について紹介している記事です。