多くのメーカーからサンプリング音源やエフェクトなどがリリースされていますが、Native Instrumentsの「KOMPLETE」シリーズは大量かつ高品質なアイテムを含んでいるバンドル製品です。KOMPLETEはとても魅力的ですが、「初心者には手を出しにくい」と感じる人もいるでしょう。そんな人におすすめなのがKOMPLETEの一部を無償で使える「KOMPLETE START」です。
KOMPLETE STARTは無償でダウンロードできるため、お試しでKOMPLETEの一部を使うことができます。また、Windows/Macに対応しており、多くのユーザーが利用できるのも魅力のひとつです。
この記事では、KOMPLETE STARTの収録内容とインストール方法を紹介します。
- 1. KOMPLETE STARTのインストール準備
- 2. KOMPLETE STARTの一括インストール
- 3. KOMPLETE KONTROL(管理ツール・プラグイン)
- 4. KONTAKT 7 PLAYER(ライブラリ再生用サンプラー)
- 5. GUITAR RIG 6 PLAYER(アンプシミュレーター)
- 6. REAKTOR 6 PLAYER(シンセ・エフェクト用サウンドエンジン)
- 7. SUPERCHARGER(真空管コンプレッサー)
- 8. Expansions Selection(ループ・サンプルパック)
1. KOMPLETE STARTのインストール準備
「KOMPLETE START」をPCに導入するには、「Native Access」というソフトウェアが必要です。Native Accessを使うことで、Native Instruments製品のダウンロードやインストールなどが可能です。
1.1「Native Access」のダウンロードとインストール
ここでは概要だけ紹介するため、Native Accessのダウンロードおよびインストールの詳細は以下の記事をご参照下さい。
- KOMPLETE STARTダウンロードページに移動して「無料ダウンロード」をクリック
- Native IDでログイン(Native IDを持っていない場合はアカウントを作成する)
- 「アカウントにKOMPLETE STARTを登録する」と表示された画面に移動して「KOMPLETE STARTを入手する」をクリック
- 表示された画面で「Native Access」のインストーラを入手
- インストーラを使用してNative Accessのインストール
- Native Accessのログイン
2. KOMPLETE STARTの一括インストール
2.1 インストール先の設定
①Native Access画面左下の「Preferences」をクリックします。
②Preferences画面にある「File Management」をクリックするとダウンロードフォルダやインストールフォルダの一覧が表示されます。
それぞれデフォルトは下の図のようになっており「Browse」をクリックすると任意のフォルダを指定できます。
- Download Location
インストールに必要なファイルをダウンロードするフォルダ。このフォルダ内のファイルはインストール後に削除される。
- Application Location
スタンドアローン(DAWから呼び出すのではなく単体で起動するアプリケーション)のインストール先。
- Content Location
サンプルファイルやライブラリなどがインストールされるフォルダ。Komplete Startをすべてインストールするには10GB以上の空き容量が必要。
- VST Location(32bit)
DAW(32bit)で使用するプラグインをインストールするフォルダ。32bitのDAWで使用する場合、DAW側でこのパスを登録する必要がある。
- VST Location (64bit)
DAW(64bit)で使用するプラグインをインストールするフォルダ。64bitのDAWで使用する場合、DAW側でこのパスを登録する必要がある。
2.2 一括インストール
次の項目からKOMPLETE STARTに含まれる個別のソフトウェアについてインストール方法を説明しますが「とにかく全てインストールしたい」という場合は Native Access画面右上の「Install All」をクリックすると一括インストールができます。
3. KOMPLETE KONTROL(管理ツール・プラグイン)
KOMPLETE KONTROLはNative InstrumentsやWaves、Spitfire Audioなど多くのメーカーが作ったインストゥルメントやエフェクトなどを管理するソフトウェアおよびプラグインです。
KOMPLETE STARTに含まれるインストゥルメントを読み込むには、Kontakt PlayerやReaktor Playerを使うか、KOMPLETE KONTROLを使用します。さらにKOMPLETE KONTROLシリーズのMIDIキーボードと組み合わせることで、各パラメーターをハードウェアに効率的にマッピングすることができます。
KOMPLETE KONTROLの特徴
- Native Instrumentsおよびサードパーティが作った音源・プラグインなどを管理
- Kontakt PlayerやReaktor Player用の音源を読み込み可能
- スケールやキーの設定のほか、アルペジエーター・オクターブ・トランスポートコントロールなどの機能が含まれる
- KOMPLETE KONTROLシリーズのMIDIキーボードと組み合わせることで各パラメーターをハードウェアに効率的にマッピング可能
3.1 KOMPLETE KONTROLのインストール
下の図の赤枠で囲った部分がKOMPLETE KONTROLとなります。アイコンがある項目の下にある「Install」をクリックするだけでスタンドアローンモードやDAWで使用可能となります。
4. KONTAKT 7 PLAYER(ライブラリ再生用サンプラー)
「KONTAKT PLAYER」はサンプリングされた音を再生するソフトウェアサンプラーです。「KONTAKT」というソフトの機能を制限したフリー版で、Native Instruments製や他社製の音源を動作させるために必要なサンプラーです。また「KOMPLETE START」には「KONTAKT PLAYER」で使用可能なライブラリが含まれています。
KONTAKT PLAYER関連の内容
- Kontakt 7 Player:プレイヤー本体
- Kontakt Factory Selection 2:ライブラリ(アコースティック・バンドなど)
- Kinetic Treats:ライブラリ(子ども用玩具で出した音をサンプリング)
- Play Series Selection:ライブラリ(シンセ、アンビエント、ピアノ系)
4.1 KONTAKT 7 PLAYERとライブラリのインストール
KONTAKT PLAYERに関連するファイルは以下通りです。各項目下にある「Install」をクリックするとスタンドアローンやDAWで使用可能になります。
4.2 KONTAKT PLAYERの使い方
KONTAKT PLAYER関連のライブラリや使い方は以下の記事で紹介しています。
5. GUITAR RIG 6 PLAYER(アンプシミュレーター)
「GUITAR RIG 6 PLAYER」はギターアンプ・エフェクトシミュレーター「GuitarRig 6」のフリー版で、ギターの音色を自由自在にコントロールすることができます。
また、アンプやエフェクトの設定をカスタマイズし、自分だけのオリジナルサウンドを作り出すことも可能です。さまざまな音楽ジャンルに対応するサウンドプリセットが用意されており、簡単にプロのような音作りを楽しめます。
スタンドアロンで動作するだけでなくDAWのプラグインとしても活用できるため、楽曲制作にも役立ちます。
GuitarRig 6 Playerの特徴
- ギターアンプ・エフェクトのシミュレーター
- ギターやベースの音を自由に加工できる
- 多彩なアンプやエフェクトを内蔵
- DAWのプラグインとしても使用可能
- 様々な音楽ジャンルに対応するサウンドプリセットが用意されている
5.1 搭載するアンプとエフェクト
■Jump Amp with Matched Cabinet
- 実際のギターアンプを模した音を出力するアンプシミュレータ
- JUMPはMarshall社のJMPアンプがモデルでロックサウンドに適している
- Matched CabinetはJUMPに合ったキャビネット
■オーバードライブ(Skreamer)
- 楽器に独特な歪みを加えることができるエフェクトの一種
- 「Jump Amp with Matched Cabinet」との相性良し
- リズミカルなギターやハイゲインで歪ませることもできる
- 幅広いジャンルの音楽に対応可能
■ダイナミクス系
- リミッター:アタックタイムが短く音のレベルを一定以下に制限するコンプレッサー
- ノイズゲート:音量が閾値以下でノイズ・ヒスの除去
- ノイズリダクション:ノイズゲートと似た効果だが、ノイズゲートより効果が柔らかい
- コンプレッサー:スレッショルド以上の音を減衰し、音のレンジを狭め均一化する
- ボリュームコントロール:音量を増加または減衰させる
■EQ&フィルタ
- パラメトリックEQ:指定した周波数をブーストまたは減衰
- シェルビングEQ:指定した周波数以下・以上をブーストまたは減衰
- プロフィルタ:ハイパス・ローパス・バンドパスのフィルタ
■ディレイ・リバーブ
- Delay Man:コーラスとビブラート内蔵のディレイエフェクト
- Twin Delay:2つのパラレルディレイを組み合わせたステレオディレイ
- プロフィルタ:ホールとルームの残響をシミュレート
■コーラス/フランジャー
モードスイッチを使うことで、コーラス・フランジャー・ピッチモジュレーションという3種類の音の効果を選ぶことができます。
- コーラス:ダブリングに近い効果があり、音に厚みを与える
- ピッチモジュレーション:音にゆらぎを与える
- フランジャー:独特のうねりを持ったサウンドや金属的なサウンドにする
5.2 GUITAR RIG 6 PLAYERのインストール(GuitarRig 6 PlayerのみでOK)
NATIVE ACCESSの「GuitarRig 6 Player」にはスタンドアローン版とプラグイン版、そしてプリセットがすべて含まれているため、インストールするだけで使用可能です。
6. REAKTOR 6 PLAYER(シンセ・エフェクト用サウンドエンジン)
「Reaktor 6 Player」はReaktorで作成されたシンセサイザーとエフェクトを使うことができるソフトウェア・プラグインです。KOMPLETE STARTにはBLOCKS BASEや2000のサウンドと6GBの音源・エフェクトがバンドルされています。
BLOCKS BASEは24のBlocksのセレクションで、基本的なモジュールが付属しています。これらをパッチングしてユニークなシンセサイザーを作成できます。
35のプリセット・ラックが付属しており、そのまま使用するほかに組み立てや分解も行えます。
Reaktor 6 Playeの特徴
- REAKTORベースのインストゥルメントとエフェクトが動作するプレイヤー
- 2,000のサウンドと6 GBのインストゥルメントとエフェクトが付属
- 24のモジュラーシンセシスの基本となるBlocksのセレクションが付属
6.1 REAKTOR 6 PLAYERのインストール方法
Reaktor 6 Playerに関連するファイルは以下の通りです。
REAKTOR 6 PLAYER関連の内容
- Reaktor 6 Player:プレイヤー本体
- Reaktor Facctory Selecttion R2:シンセ音源「Lazerbass」「Carbon 2」「Space Drone」「Newscool」
- Blocks Base:パッチングによってユニークなシンセを作成可能
- TRK-01 Bass:ベース専用音源
- Mikro Prism:70のプリセットを搭載したシンセ
7. SUPERCHARGER(真空管コンプレッサー)
「SUPERCHARGER」はアナログテープのようなウォームでパンチのあるサウンドを再現するために設計されたコンプレッサープラグインです。1つのノブで簡単に操作できることが特徴で、アコースティックギターやヴォーカルに力強さを加えるほか、パワフルなドラムの音色に仕上げます。
Compressノブを使い、厚みとハーモニック・サチュレーションを加えてプレゼンスを高めることができます。さらにPunchボタンでトランジェントを調整したり、Dirtボタンでサチュレーションを加えてオーバードライブ感を生み出したりできます。
「SUPERCHARGER」の特徴
- 真空管コンプレッサーの動作をエミュレートしアナログテープのサウンドを再現
- サイドチェイン機能でパラメータを自動調整
- オートゲイン機能で音量を自動的に調整
- ボーカル、ドラム、アコースティックギターなど、さまざまな楽器に適している
7.1 SUPERCHARGERのインストール
NATIVE ACCESSから「Supercharger」をインストールできます。
8. Expansions Selection(ループ・サンプルパック)
「Expansions Selection」はジャンルに特化したサウンドパッケージであるExpansionsシリーズから約1,500個のループやサンプルを収録しています。容量は約1.68GBです。
8.1 Expansions Selectionのインストール
NATIVE ACCESSから「ExpansionsSelection」をインストールできます。
以上がKOMPLETE STARTの収録内容とインストール方法の紹介を終わります。