Studio Oneでオーディオ録音するためには、事前にやらなければいけない準備がいくつかあります。
- 録音をするために必要な事前準備
- トラック作成から録音するまでの操作方法
- 録音をサポートする3種類の録音機能
- 2種類の書き出し方法
について説明します。
1. 録音の準備
録音するにあたり、あらかじめ準備しておくことを説明します。主な手順は以下の通りです。
- オーディオデバイスの設定
- StudioOneプロジェクトの作成
1.1 オーディオデバイスの設定
まずは、オーディオデバイスの設定について説明します。オーディオデバイスの設定では録音に使用する機器(オーディオインターフェイスまたはPCのマイク入力など)をStudioOneで使用可能にするための設定となります。
1.Studio Oneのトップ画面からオプションを開く
Studio Oneを起動後、トップ画面中央の設定から「オーディオインタフェイス画像」または「オーディオデバイスなし」をクリックします。
2.オーディオデバイスの選択と設定を行う
場所:「オプション」>「オーディオ設定」>「オーディオデバイス」
オプションの「オーディオ設定」>「オーディオデバイス」タブをクリックし、オーディオデバイスのリストから「録音に使用する機器」を指定します(この機器とはオーディオインタフェイスを使用する場合はその機器に対応したものを選択します)
オーディオインタフェイスを使用しない(PCのマイク端子などを使用する)場合は「Windows Audio」をクリックします。その後に「コントロールパネルボタン」を押して、デバイスの設定画面を開きます。
オーディオデバイスにWindows Audioを選択した場合の画面
オーディオデバイスにオーディオインターフェイスを選択した場合の画面例
デバイス設定画面の表示について
- コントロールパネルから表示されるデバイス設定画面では、選択したオーディオデバイスにより表示される画面が異なります。
録音時のバッファサイズについて
- 録音時の必須設定はバッファサイズ(もしくはレイテンシーと表記されている)
- バッファサイズは小さくするほど音の遅延も小さくなりますが、PCの負荷が高くなったりノイズの原因になったりとデメリットが生じることもあります。
- バッファサイズの設定は、はじめ小さい値にして録音・再生時にノイズが入る場合は徐々に大きい値にすると良いでしょう。
1.2 新規ソングの作成と設定
ここでは録音するためのソング作成と設定について説明します。
1.「新規ソング作成」をクリック
2.新規ソングの設定
場所:「スタイル」>「空の新規」
「スタイル」>「空の新規ソングを作成」を選択します。
サンプルレートをオーディオインタフェイスの設定と同じ(44.1KHz・48KHzなど)に指定し、テンポが分かっていればBPMの設定を行います。
「オーディオファイルをソングテンポにストレッチ」のチェックは外しておきます(チェックが入っていると、読み込んだオーディオファイルが指定したテンポに合わせて調整されてしまうため)
2. 録音
ここからは録音方法について説明します。手順は以下の通りです。
- 録音用のトラック作成と録音準備
- 録音を行う
2.1 トラックの作成と録音準備
1.録音用オーディオトラックの作成
画面左側(下図の矢印のあたり)で右クリックをして「オーディオトラックの追加」を選択します(マイクの種類と本数によってモノかステレオを選択します)
オーディオトラックを追加(モノ):
1本のマイク、楽器などの録音用
オーディオトラックを追加(ステレオ):
ステレオマイク、2本のマイクを1つのトラックで同時録音
2.トラックを録音準備状態にする
作成したトラックで画像の赤枠「録音準備マーク」をONにした後、下部の「録音する入力端子」を選択します(この時点ではまだ録音は開始されません)
①リストから「オーディオI/O設定」を選択します。
②「追加」をクリックすると「入力1」というリストが作成されます。下の図にある赤枠のように「入力1」に対して使用するチャンネルを選択します(モノの場合、Mという文字が入ればOK)
2.2 録音する
1.録音マークONで録音開始
録音の準備が終わった後、画面下の録音マークをONにすると録音が開始します。
録音が開始されると、下の図のように色のついたエリアが伸びていきます。ここで歌う、または楽器を演奏していきます。
2.停止マークで録音終了
録音時の注意点
録音する際には、録音後の波形の一番大きい部分が上端・下端まで達しないように注意が必要です。
具体的には、下の図の赤枠で囲まれた部分に入らないようにしましょう。録音した波形が赤枠に入ってしまう場合は、録音機器のゲインを下げて調整します。
録音のサポートにメトロノームを使用
メトロノームの設定をしておくと録音のタイミングを取りやすいので、必要に応じて使用してみてください。
設定方法は画面下の赤枠部分の「メトロノーム」をクリックするだけで再生や録音時にメトロノーム音が鳴るようになります(メトロノームの音は録音されません)
録音はクオリティを求めない場合、パソコンに内蔵されている機能だけでも可能です。しかし音楽用途の場合、よりいい音を録音するにはボーカル・音楽問わずマイクとオーディオインターフェイスが必要不可欠になります。
3. 録音機能の種類
StudioOneには録音をサポートする複数の機能があります。
オートパンチ
録音前に開始位置と終了位置を決めて、その範囲のみ録音する方法。
プリカウント・プリロール
録音時に準備時間を設ける方法。
- プリカウント:録音ボタンを押した後に一定時間経過してから録音を開始する。
- プリロール:録音開始位置より一定時間前から録音を開始する。
テイク録音
繰り返し録音を行い、その録音結果から好きな部分だけを選択して1本のトラックを作成する方法。
3.1 オートパンチ(開始と終了を決めて録音)
オートパンチとは録音開始位置(パンチイン)と終了位置(パンチアウト)をあらかじめ決めておき、その部分のみ録音を行う方法です。この方法は、すでに録音されているトラックに対して一部を録り直しをしたいときなどに使用します。
①タイムライン(赤枠内上部あたり)にカーソルを移動させると鉛筆マークになるので録音範囲をドラッグして指定します。
②ループ設定がOFFになっていることを確認します。
③オートパンチボタンをONにします。あとは先述した【録音】で説明した操作で録音を行います。
3.2 プリカウント・プリロール(録音前カウント後に録音開始)
カウントを挟んでから録音を開始する方法としてプリカウントとプリロールがあります。
プリカウントまたはプリロール期間の設定をするには、スパナマークをクリックしてメトロノーム設定画面の赤枠で設定します。
↓
プリカウント
プリカウントは録音ボタンを押してから一定時間(設定した小節)経過後に録音を開始する機能で、録音ボタンを押してから録音開始までに準備時間が欲しい場合に有効な方法です。
①赤枠内のプリカウントマークをONにします。
②この状態で録音を開始すると下の画像のようにカウントが表示され、カウントが0になった後で録音が開始されます。
プリロール
プリロールは録音ボタンを押すと一定時間(設定した小節)前の他トラックが再生され、その後に録音が開始される機能です。録音開始までに他トラックの音が流れるため、録音開始までにリズムをとりたい場合に有効な方法です。
①赤枠内のプリロールマークをONにします。
②録音を開始するとタイムバーが一定時間前の位置に移動し、再生開始されます。録音開始位置までタイムバーが移動した後に録音が開始されます。
3.3 テイク録音(繰り返し録音して)
テイク録音は繰り返し録音を行い、その録音結果から好きな部分だけを選択してトラックを作成する方法です。
①録音範囲をドラッグで指定します。
②ループをONにします。
③歯車マークにチェックを入れると録音モードなどを選択する画面が表示されます。
④録音モードの「テイクをレイヤー化」をONにします。
この状態で録音を開始すると、テイクができあがります。下の図はテイクを3本録ったときの表示例です。
⑤テイク内の採用したい位置をドラッグすることでテイクをつなぎ合わせ、1本のトラックを作成していきます。Alt(Windows)またはOption(Mac)を押しながらテイクの上でクリックすることで録音されている内容を聴くこともできます。
4. 書き出し
書き出し方法は「ミックスダウンをエクスポート」と「ステムをエクスポート」の2種類があります。
ミックスダウンをエクスポート
すべてのトラックを1つの楽曲ファイルとして出力。録音からミックスまで終えた後、最終的に音楽ファイルとして出力する場合に使用します。
ステムをエクスポート
複数のトラックを同時に別々のファイルで出力。録音ファイルを一時的に書き出す場合に使用します。
4.1 ミックスダウンをエクスポート
①書き出しを行う範囲をドラッグで指定します。
②「ソング」>「ミックスダウンをエクスポート」をクリックします。
場所:「Studio One」>「ソング」>「ミックスダウンをエクスポート」
③赤枠内を設定し、OKボタンをクリックするとファイルが出力されます(解像度とサンプリングレートはプロジェクトの設定に合わせるようにしてください)
4.2 ステムをエクスポート
①書き出しを行う範囲をドラッグで指定します。
②「ソング」>「ステムをエクスポート」をクリックします。
場所:「Studio One」>「ソング」>「ステムをエクスポート」
③赤枠内を設定し、OKボタンをクリックするとファイルを出力します。
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