Cakewalk by BandLabにはMIDI編集を便利にするMIDIプラグインがあります。MIDIプラグインを上手く活用すればアルペジオ、ヒューマナイズ、コード解析などが楽になります。MIDIプラグインの適用方法はいくつかあり、場面に応じて使い分けが必要です。
- MIDIプラグインの4つの使い方
- 使用できるMIDIプラグインの概要と各パラメータ
を紹介します。
【1】MIDIプラグインの使い方
MIDIプラグインを使う方法はいくつかあり、それについて紹介します。
MIDIデータに対して変化を加えるプラグインのこと。例を挙げると「MIDIノートのベロシティにランダムなオフセットを加える」「クオンタイズしタイミング補正する」「アルペジオに変換」などが可能。また、MIDIノートのコード解析やDelay効果を与えることもできる。
1.1 MIDIトラックでMIDIプラグインの挿入(トラックに対して適用)
MIDIプラグインの挿入は、MIDIトラック全体に対してMIDIプラグインを適用させます。
MIDIトラックのFX欄で右クリック後に「MIDIプラグインの挿入」>「Uncategorized」>「追加したいプラグイン」を選択することで適用できます。
1.2 MIDIクリップでMIDIプラグインの挿入(クリップに対して適用)
MIDIクリップに対してMIDIプラグインを挿入する方法では、同じトラックであってもクリップごとに異なるMIDIプラグインを挿入できます。
クリップを右クリック後に「エフェクトの挿入」>「MIDI FX」>「Uncategorized」>「追加したいプラグイン」を選択することで適用できます。
1.3 MIDIクリップでMIDIプラグインの反映(クリップに対して破壊編集)
MIDIクリップに対して破壊編集を行うこともできます。クリップを右クリック後に「エフェクトの反映」>「MIDI FX」>「Uncategorized」>「追加したいプラグイン」を選択することで適用できます。
元のMIDIデータを書き換えてノートそのものをエフェクト適用後に置き換える編集方法のこと。
使用例
MIDIノートにArpeggiatorを適用させると、ノートは下の図のように変更されます。
1.4 MIDIノートでMIDIプラグインの反映(MIDIノートに対して破壊編集)
MIDIノートに対してMIDIプラグインを使うと、ノートの一部のみMIDIプラグインの効果を反映できます。この場合、破壊編集のみ可能です。
ピアノロールからMIDIノートを選択後、ピアノロール上で右クリックして「MIDI FX」>「Uncategorized」>「適用したいMIDIプラグイン」を選択することで反映できます。
【2】MIDIプラグインの説明
ここからはMIDIプラグインの説明をします。
2.1 Arpeggiator
Arpeggiatorはその名の通り、アルペジオを自動生成する機能です。アルペジオパターンの選択や範囲を指定したり、スイングさせたりもできます。
- units:
Rateパラメータの単位を設定。Notesに設定することでRateで音符単位の指定が可能。 - path:
アルペジオの動き方を設定。 - Play Through:
ONの場合は元のMIDIノートも再生し、OFFの場合は生成されたアルペジオのみ再生。 - Rate:
アルペジオの分解能を設定。単位はunitで設定。 - Legato:
アルペジオのノートの長さをパーセントで設定。99%にするとノートとノートの間は切れ目なく繋がる。 - Swing:
音をスイングさせる。50%設定でアルペジオは等間隔に配置され、66%設定だと1音目-2音目間と2音目-3音目間の間隔が2:1になる。 - Output:
アルペジオの音の範囲を設定。チェックを入れることで指定した範囲でアルペジオが再生される。 - Chord:
チェックを入れることでコード解析。 - Recognized Chord:
Arpeggiatorで解析されたコードが表示。
2.2 Chord Analuzer
Chord Analuzerはコード解析を行い、中央のChordsRecognizedに解析されたコードを表示します。
- Analysis Window:
コード解析する間隔を設定。値が小さいほど細かくコード解析できるものの、その分ノートが少なくなるためコードを絞り込めない場合も。
2.3 Echo Delay
Echo DelayはMIDIノートに対してノートの繰り返し(エコー)の効果を与えます。
- X Echoes:
エコーの繰り返す回数を設定。 - YDecay:
エコーのベロシティ減衰率を設定。 - Delay:
エコーの間隔を設定(単位はUnitで設定) - TAP:
マウスクリックでDelayの間隔を設定。前のクリックとの時間の差がDelayに設定される。単位がNotes以外のときに有効。 - Swing:
エコーのスイングを設定。 - Pitch:
エコーのピッチを設定。0以外の値ではエコーは元のノートからトランスポーズされる。またピッチ変化量はDia.(全音階) or Chrom.(半音階)の設定に従う。
2.4 Midi Event Filter
Midi Event Filterは、イベントフィルタと同様にMIDIノートに対して特定の条件でフィルタリングされたMIDIのみ再生されます。
例えば範囲内のノートのみ音を鳴らしたり、範囲内のピッチベンドのみ有効にしたりできます。各パラメータは「編集」>「選択」>「フィルタで選択」>「イベントフィルタ選択」の画面と同じです。
2.5 Quantize
QuantizeはMIDIノートやCCなどMIDIイベントのタイミングと長さを補正します。また、MIDIイベントに対してランダムにタイミングをずらすこともできます。
- Start Times:
ONにするとMIDIイベントの開始タイミングを補正。 - Duration:
ONにするとMIDIイベントの長さを補正する。 - Resolution:
補正の分解能を設定。例えば1/16に設定すると16分音符でタイミングが補正される。 - Tuplet:
ONにすると連符の間隔で調整できる。 - Strength:
補正する強度を設定する。値を大きくするほどResolutionのグリッドに近づくように補正され、100%でResolutionの分解能に合うように補正される。 - Swing:
スイング設定。アルペジオに対してスイングさせる場合、50%以外に設定する。50%設定ではアルペジオは等間隔になる。 - Window:
タイミング補正をする範囲の設定する。100%ですべてのイベントに対してタイミング補正を行い、値が小さくなるにつれてResolutionで設定したグリッドから遠いものが補正されなくなる。 - Offset:
グリッドのオフセットとなる。0でグリッドに揃い値が大きくなるほど後方にずらす。 - Random:
ONの場合、MIDIイベントの開始タイミングを前後にランダム量ずらす。
2.6 Transpose
TransposeはMIDIをトランスポーズ(移調)する機能です。トランスポーズの方法は変更量を指定・変更先のキー指定・カスタムマップ使用など、さまざまです。
- Transpose Method:
トランスポーズの方法を設定する。Intervalは半音単位、Diatonicは全音単位でトランスポーズする。Key/Scaleは指定したキー/音階から別のキー/音階へトランスポーズし、CustomMapは作成したマップ通りのトランスポーズをする。 - To-From:
key/Scaleで使用し、変更後のキーと変更前のキーを設定する。 - Offset:
IntervalとDiatonicdeではトランスポーズする量を設定する。Key/Scaleではトランスポーズするオクターブ量を設定する。 - Transposition Map:
Custom Mapで使用しトランスポーズの対応表を設定する。 - Constrain To Scale:
ONの場合、Diatonic・Key/Scaleではスケールに含まれない音符を近い音符位置にトランスポーズする。
2.7 Velocity
Velocityはノートのベロシティを変更する機能です。画面中央のChangeとGraduallyエフェクトの反映でのみ使用可能です。
- Set to:
すべてのノートのベロシティを指定した値に変更。 - Change:
現在のベロシティに指定した値のオフセットを加える。 - Scale:
現在のベロシティを割合で変化させる。50%に設定した場合、現在のベロシティの50%に変更される。 - Limit:
上下限値を指定し、現在のベロシティが上限値を超えている場合は上限値、下限値より小さい場合は下限値に変更。 - Change(エフェクトの反映のみ):
最小値と最大値を指定し、選択されたノートの範囲で最初のノートを最小値に最後のノートを最大値に変換。その間のノートは最小値から最大値までリニアに補間された値となる。 - Gradually(エフェクトの反映のみ):
現在のベロシティを割合で変化させる。全てのノートに対して一定ではなく、最小値(%)と最大値(%)の間でリニアに補間された割合値で元のベロシティを変化させる。
関連記事まとめ
Cakewalk by BandLabの使い方
QuantizeとVelocityを使用したヒューマナイズ