
DTMでの作曲にはMIDIを使って音階や音のコントロールを行う方法があります。MIDIの入力では主にピアノロールを使用することが多いです。
この記事ではStudio OneでMIDI打ち込みを始める際に知っておきたい、ピアノロールの基本操作と設定方法を解説します。ノートの長さやスケールの設定のほか、便利なショートカットキーを活用してスムーズな打ち込み環境の構築しましょう。
- 1. 基本操作について
- 2. ノートエディタの設定
- 3. 使用頻度の高い操作方法の紹介
- よくある質問(FAQ)
- Q. ピアノロール(ピアノビュー)を使ってMIDIを打ち込みたいのですが、どうやってソフトウェア音源を用意すればいいですか?
- Q. トラックにダブルクリックするとイベントができますが、MIDI打ち込みをする場合は何ができるんでしょうか?
- Q. ピアノビューを開いたら、どうやってノートを入力すればいいですか?
- Q. 複数のノートを選択して一度に長さを伸ばしたり短くしたりしたいです
- Q. ノートを入力した後で音の強さを調整したいです
- Q. ドラムの音は鍵盤を押したままにしても持続しない気がします。デュレーションは関係ないのでしょうか?
- Q. ピアノロール上でスケール機能をONにすると、何が便利なの?
- Q. すでに入力したノートを別のスケールに合わせたい場合、一括で移動する方法はありますか?
- Q. ピアノロールのノート色を変えられるみたいですが、どのルールを使えば便利でしょうか?
- Q. 同じフレーズを繰り返し入力したい場合、毎回コピー&ペーストするのは面倒です
- Q. 細かい打ち込みをするときに見やすいように拡大したいのです
- Q. 打ち込みの際に最初から一定の長さでノートを入力したいです
- Q. 無料のStudio One Primeでもピアノビューの操作や設定はすべて使えますか?
- Q. 初心者がStudio Oneで打ち込みを始めるとき、作業効率を上げるコツはありますか?
- 関連記事まとめ
1. 基本操作について
1.1 ピアノビュー(ピアノロール)での打ち込み準備
①打ち込みに使用するソフトウェア音源を追加するためにブラウザのインストゥルメントタブから音源をドラッグ&ドロップします。ここではPresenceを使って説明します。

②打ち込み入力するスペースを追加するために、トラックのタイムライン上でダブルクリックします。この操作によって出来上がるデータのくくりを『イベント』と呼びます。
イベントにはオーディオ用とノート用の2種類があり、ノート用のイベントは『インストゥルメントパート』と呼びます。

③インストゥルメントパートを適当な長さまで伸ばします。

③インストゥルメントパートをダブルクリックするとピアノビュー(ピアノロール)が開き、ここにノートを入力していきます。ピアノビューではCtrl+左クリックまたはダブルクリックでノートの入力ができます。

入力されたノートの端をドラッグするとノートの長さを変更できる。

■ベロシティ(ノートの音の強さや速さ)の設定方法
MIDIキーボードの鍵盤を押し込む強さ(速さ)に相当するパラメータを『ベロシティ』と呼び、各ノートのベロシティはピアノビューの画面下側で編集できます。
Studio Oneではベロシティ値をパーセント(0%~100%)もしくはMIDI(0~127)から選択して入力します。ベロシティの違いによる効果は音量・奏法・音色など音源によってさまざまですが、ほとんどの音源ではベロシティが強いほど音量も大きくなります。

入力値の単位(パーセント or MIDI)を切り替えるには、下の図のレンジが表示されている場所を右クリックしてリストから選択する

2. ノートエディタの設定
2.1 入力時のデュレーション(ノートの長さ)設定
入力時のノートの長さはピアノビューのノートエディターで変更でき、ノートエディターの長さ項目(赤枠で囲まれた2つのリスト)で指定します。左側のリストは1拍の長さを、右側のリストでは3連符や7連符なども変更できます。

デュレーションはノートの開始位置から終了位置までの時間を指し、鍵盤を押すタイミングから鍵盤を離すタイミングのこと。
デュレーションは通常、音源から音を発している長さになりますが、ドラムのようにデュレーションの影響を受けない音源や終了位置以降も余韻を残す音源もある。

2.2 スケールで入力制限
ノートエディターのスケールにチェックを入れる(ONにする)とノートの入力・移動をスケールに合わせて制限することができます(入力可能な音は鍵盤に水色で表示されます)

スケールOFFの状態からスケールをONにして複数のノートをまとめて移動すると、移動したすべてのノートがスケールに制限される。

2.3 ノートの色について
ノートの色はルールに則って分けられおり、このノートの色のルールはエディタの項目「ノート色」で変更できます。

- パート(左):
トラックごとに色分けをする
初期状態はこの設定になっており、主にピアノビューに複数のトラックを表示させるときに使用 - ピッチ(中央):
鍵盤の音階によって色分けをする
同じ音階の音を見分けたり、ドラムやキースイッチの打ち込みなどに便利 - ベロシティ(右):
ベロシティの強さで色分けをする
ベロシティを色で判別できるため、トラック全体のベロシティ調整に活用できる

3. 使用頻度の高い操作方法の紹介
打ち込みは入力する内容が多いため、ショートカットキーの使用すると作業がスムーズに進みます。
3.1 ショートカットキー
■ノートを後ろに複製(反復複製):キー D
ノートを選択してキーDでノートを複製します。
選択したノートの範囲によってノートの複製先が複製前のすぐ後ろとは限らず、自動で決定されます。このショートカットはトラックビューでも使用できます。

■時間軸で拡大:キー E 時間軸で縮小:キー W
キーEでピアノビューを拡大し、キーWでピアノビューを縮小します。このショートカットキーはトラックビューでも使用できます。

よくある質問(FAQ)
Q. ピアノロール(ピアノビュー)を使ってMIDIを打ち込みたいのですが、どうやってソフトウェア音源を用意すればいいですか?
A: ブラウザの「インストゥルメント」タブから、使用したいソフトウェア音源(例:Presenceなど)をトラックにドラッグ&ドロップするだけでOKです。
インストゥルメントを追加すると、そのトラックでMIDI入力を行えるようになります。
Q. トラックにダブルクリックするとイベントができますが、MIDI打ち込みをする場合は何ができるんでしょうか?
A: ダブルクリックして作成される「インストゥルメントパート」は、MIDIノートを配置するための枠となる部分です。ここにノートを入力して曲のメロディや伴奏などを作成します。
オーディオの録音を扱う「オーディオイベント」とは別物なので、MIDI入力用には必ずインストゥルメントパートを作りましょう。
Q. ピアノビューを開いたら、どうやってノートを入力すればいいですか?
A: ピアノビュー(ピアノロール)を開いた状態で「Ctrl + 左クリック」または「ダブルクリック」すると、その場所にノートが入力されます。
ノートの長さや位置は後からドラッグで変更可能です。
Q. 複数のノートを選択して一度に長さを伸ばしたり短くしたりしたいです
A: 変更したいノートをまとめて選択し、いずれかのノートの右端(または左端)をドラッグすると選択したノートすべての長さをまとめて変更できます。
ドラッグ操作で簡単に調整が可能です。
Q. ノートを入力した後で音の強さを調整したいです
A: ピアノビュー下部にあるベロシティエリアでノートごとに数値を変更します。
グラフの棒を上下にドラッグすることで数値を調整でき、音量や奏法が変化します。値の単位は「0~127」(MIDI値)か「0~100%」(パーセント)を選択でき、画面右クリックで切り替えが可能です。
Q. ドラムの音は鍵盤を押したままにしても持続しない気がします。デュレーションは関係ないのでしょうか?
A: ドラムのように「打音と同時に減衰が始まる音源」の場合、ノートの長さ(デュレーション)の影響をほとんど受けません。
鳴った瞬間に音が出て、その後は余韻を残すかどうかは音源側で決まります。ピアノやストリングスのように鍵盤を押している間音が伸びる音源と挙動が異なる点に注意しましょう。
Q. ピアノロール上でスケール機能をONにすると、何が便利なの?
A: スケールをONにすると、指定したスケール(例:CメジャーやGマイナーなど)以外のノートを入力しにくくしてくれます。入力・移動がスケールに合致する音だけになるため、音を外しにくくなるメリットがあります。
キーに合ったメロディをスムーズに打ち込みたいときに活用できます。
Q. すでに入力したノートを別のスケールに合わせたい場合、一括で移動する方法はありますか?
A: スケールをOFFの状態でノートを選択→スケールをONにする→選択したノートを移動すると、すべてのノートがスケールに合わせて補正されます。
複数音同時に変換できるので、転調や違うスケールに変えるときに役立ちます。
Q. ピアノロールのノート色を変えられるみたいですが、どのルールを使えば便利でしょうか?
A: 用途に合わせて切り替えます。
- パート:
トラック単位で色を分けたいときに便利(初期設定) - ピッチ:
鍵盤の音階ごとに色を分けるため、ドラムのキーマップやキースイッチを識別しやすい - ベロシティ:
音の強弱がひと目で分かるため、演奏表現を調整するときに便利
Q. 同じフレーズを繰り返し入力したい場合、毎回コピー&ペーストするのは面倒です
A: Dキーで「反復複製」できます。ノートを選択してDキーを押すと、同じ長さの範囲をそのまま後ろにコピーしてくれるので、繰り返しフレーズの作成に便利です。
トラックビューでも同様の操作が可能です。
Q. 細かい打ち込みをするときに見やすいように拡大したいのです
A: Eキーで時間軸を拡大、Wキーで時間軸を縮小できます。
マウスホイールや下部のズームバーを使うこともできますが、キー操作を覚えておくと素早く視認性を変えられるのでおすすめです。
Q. 打ち込みの際に最初から一定の長さでノートを入力したいです
A: ピアノビュー上部(または下部)にあるノートエディターの「長さ」パラメータを設定しておきます。
左側のリストで1拍や1/2拍など、右側のリストでは3連符や7連符なども指定できます。これを変えておくと、入力したノートが最初からその長さで配置されます。
Q. 無料のStudio One Primeでもピアノビューの操作や設定はすべて使えますか?
A: 基本的なMIDI編集機能は無料版のStudio One Primeでもほぼ同様に使えます。
ただし特定のプラグインや高度な機能(サードパーティのVSTサポートなど)は有料版限定となる場合があります。MIDIの打ち込みやピアノビューの操作は共通する部分が多いので、入門には十分です。
Q. 初心者がStudio Oneで打ち込みを始めるとき、作業効率を上げるコツはありますか?
A: ショートカットを積極的に使い、スケールやノート色分けを活用して視覚的に分かりやすくするのがポイントです。
慣れてきたらフレーズをパターン化して反復複製(Dキー)を使うと作業スピードが大きく上がります。またベロシティを視覚的に把握できる設定を使うとニュアンスづくりがしやすくなります。
関連記事まとめ
【Studio One】使い方まとめ




