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【Cakewalk by BandLab】録音方法とレコーディング時に使える便利な機能

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Cakewalk by BandLabでは、さまざまな方法で録音することができますが、そのためには事前にやらなければいけない準備があります。

 
この記事では
 
  • 録音をするために必要な事前準備
  • トラック作成から録音するまでの操作方法
  • 録音に便利な機能

を説明します。

 

【1】環境設定(録音の準備)

 

場所:「編集」>「環境設定」

ここでは録音する前にあらじめ準備する内容を説明します。
録音する場合、オーディオデバイスの設定やレイテンシの設定・録音モードの設定などが必要です。cakewalk by bandlabで録音する場合は、オーディオデバイスをcakewalk by bandlabに認識させる必要があるため「環境設定」をクリックして設定します。

 

1.1 オプションタブ>ドライバモードの設定

場所:「オーディオ」>「オプション」

オーディオデバイスのドライバモード設定を行うためにオプションタブを開きます。すでにCakewalk by Bnadlabでオーディオデバイスを使用している場合、設定は必要はありません。

 

ドライバモードの設定

ASIOドライバに対応したオーディオインターフェイスを使用する場合、ドライバーモードは「ASIO」に設定します。それ以外(例えばパソコンのオーディオ端子、USBヘッドセットなど)は「WASAPI排他」で設定して問題があるようであれば、他の設定にします。

CHECK:ドライバモード

 

WDM/KS
MMEよりもレイテンシが低い。WASAPIが普及する前での低レイテンシなwindows標準デバイスドライバで、WASAPIがうまく動作しない場合はこちらを使用。

WASAPI排他
ASIOが使用できない環境での最有力候補。排他モードはcakewalkを使用している時ときは他のアプリでの音が出ないが、音質が高い。

WASAPI共有
WASAPIを使用しつつ他のアプリでも音を出したい場合に使用。排他モードより音質は悪い。

ASIO

ASIOドライバに対応したオーディオインターフェイスを使用している場合に選択。

MME(32-Bit)
レイテンシーが高くまた、サウンドミキサーを経由するため音の劣化が顕著。他のモードが動作しない場合を除いて、通常は選択しない。

 

 

1.2 デバイスの選択タブ

場所:「オーディオ」>「デバイスの選択」

cakewalk by bandlabで使用する入力デバイスをリストから選択します。録音時はオーディオトラックで録音に使用するデバイスをリストから指定しますが、そのリストに表示するデバイスをここで設定します。

 

使用する入力デバイスを選択

  1. 「デバイスの選択」タブを開く
  2. 「入力デバイス」の録音に使用するデバイス全てにチェックを入れる

※ここでチェックを入れていないチャンネルは実際に録音する際にトラックで指定する入力リストにも表示されないため、必ず確認してください。

CHECK:オーディオデバイスがPCに接続しているのに表示されない

 

このときパソコンに接続されているはずのオーディオインターフェイスがデバイスとして表示されない場合、ドライバのインストールもしくはPCで認識されていない可能性があります。

 

 

1.3 デバイスの設定タブ

場所:「オーディオ」>「デバイスの設定」

デバイスの設定タブに移動して以下の設定を行います。

1. 再生・録音タイミングマスタの設定

「デバイスの設定」から「再生タイミングマスタ」と「録音タイミングマスタ」を録音に使用する1つのデバイスを設定します。

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POINT:再生・録音タイミングマスタ

 

録音用のオーディオデバイスが複数あるとき、どちらかのデバイスを同期用のマスターデバイスとして使用します。使用するデバイスが1つであってもそのデバイスのどちらかのチャンネルが設定されている必要があります。

 
 

2. ミキシングレイテンシの設定

ドライバモードが「ASIO」の場合は「ASIOパネルボタン」をクリックし、オーディオデバイス専用の画面からバッファサイズを小さく設定します。
ドライバーモードが「ASIO」以外の場合、下の図のミキシングレイテンシの「バッファイサイズ」を最小値に設定します。

ミキシングレイテンシの設定は録音するにあたって非常に重要です。
レイテンシは遅延時間の事でレイテンシが大きいと音が遅れて聞こえることになります。そのため録音するときは可能な限りレイテンシを小さくすることが大事です。

※レイテンシを小さくするとVSTプラグインを使用した場合のCPU使用率が上がります。録音の際はプラグインを無効にしておくと良いでしょう

 

1.4 録音タブ

場所:「プロジェクト」>「録音」

ここでは録音方法の詳細を設定します。通常は複数テイクの録音が可能な「コンピング」モードが使いやすいです。

CHECK:録音モードの違い
 

1.コンピング

コンピングは複数テイク録音した後に組み合わせて1つのトラックを作成する場合に選択(デフォルトでコンピングが選択)
録音するたびに新しいテイクが作成され、録音が開始されると前に録音したテイクはミュートになって録音完了後はかぶっている部分のみ最新の録音が有効となる。
すべて録音し終えた後はテイクから好きな部分を指定するだけで1本のトラックが作成可能何度も録音し、1本のトラックを作成する場合に有効

 

2.上書き

上書きは録音するたびに常にクリップに上書きされ、元の音は消去される。そのため常に最新に録音されたものだけになる。

 

3.サウンドオンサウンド

サウンドオンサウンドは常に既存の音に録音された音がミックスされる。
コンピングや上書きは1トラックに音が2つ以上重ならないが、サウンドオンサウンドは録音するたびにミックスされたクリップができあがる。また、サウンドオンサウンドのみ録音時に前に録音した音も再生される。

 

 

【2】録音する

 

録音の環境設定が完了したら、実際に録音をしてみましょう。ここではトラックの作成から録音するまでの操作を説明します。

 

2.1 録音するトラックの作成と設定

手順1.オーディオトラックの作成

楽器やボーカルの録音をする際には、まずオーディオトラックの作成をします。
トラックビューの何もないところで右クリックをして「オーディオトラックの挿入」を選択します。

 

手順2.オーディオトラックに録音用デバイスを設定

作成したオーディオトラックの下端をドラッグするとトラックの詳細設定が表示され、その中にはインプット項目があります(トラック作成時にデフォルトでは「なし」に設定されています)
この設定を「なし」から「(録音に使用するデバイス名)」に変更します。
※録音に使用するデバイスが表示されない場合は『【1】環境設定(録音の準備)』の説明を見返してください

 

 

手順3.録音するトラックでインプットデバイスに音が入力できることを確認

トラック名の下のインプットモニターをONにすることで入力されている音を確認します。
※ここでレベルメーターが場合、選択したチャンネルが間違っているかオーディオインターフェイスなどの機器の入力レベル設定が小さい可能性があります。

 

手順4.クリップしていないことを確認する

録音トラックのメーターを確認し、録音する前に録音機器の入力レベルの調整をします。
※録音時の最大音が「0.0」を必ず超えないようにしてください。

 

2.2 録音する

手順1.トラックを録音待機状態にする

録音を開始するには、まず録音待機状態にする必要があります。下の図の録音マークをクリックして録音待機状態にします(複数チャンネル同時に録音する場合は複数のトラックを録音待機状態にします)

 

手順2.録音を開始する

コンソールビューの録音ボタンをクリックすると録音待機状態トラックの録音を開始します。

【ショートカットキー】(トラックが録音待機状態のとき)録音の開始 / 停止:R

 

2.3 繰り返し録音する

 

繰り返し録音する場合、繰り返す範囲を選択して画像右上のループボタン下にある「選択範囲をループ区間に設定」ボタンをクリックします。
ループ区間に設定されると下の図のように黄色範囲が表示され、その区間を繰り返します(ループを解除する場合はループボタンで解除します)

 

2.4 録音モードによる操作の違い

 

録音モードによって録音したオーディオデータに対して操作が異なります。
録音モードの詳細説明は『1.4 録音タブの【CHECK:録音モードの違い】』を参照してください。

CHECK:録音モード別の操作について

 

1. コンピング

複数回録音したら各テイクから好きな場所を選択して1つのクリップを作成します。
複数回録音すると最初は最終クリップしか表示されませんが、トラック左のテイクレーンボタン(画像のオレンジマーク)を押すことで録音したテイクの数だけトラックが表示されます。
各レーンの録音した波形の半分より下のあたりにマウスを持っていくと範囲選択モードになるので範囲を指定することでトラックを完成させます。

 

 クリップの左右をマウスでドラッグすることで選択範囲を変更することもできます。

 

2. 上書き

上書きは特に操作は必要なく、録音が完了した時点でクリップが完成します。

 

3. サウンドオンサウンド

こちらも特に操作は必要なく、録音が完了した時点でクリップが完成します。

 

 

2.5 コントロールバーから録音モードを変更する

 

環境設定から録音モードを設定する方法は上で説明しましたが、コントロールバーからも録音モードを変更できます。
コントロールバーの録音ボタンを左クリック長押しで録音モードの設定が開きます。ここで録音モードを変更できます。また、録音ボタンを右クリックで環境設定の録音タブを開くことも可能です。

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2.6 部分録音機能(オートパンチ録音)

 

録音した音の一部のみ録り直したい場合、あらかじめその録音範囲を決めておいてその範囲のみ録音される機能(オートパンチ録音)を使う方法があります。
オートパンチ録音だと録り直し部分の演奏に集中でき、自然な仕上がりになります。

 

オートパンチのイメージ

 

手順1. オートパンチ区間の設定

使用方法はまずオートパンチ設定にする範囲を決め、下の図に表示されているオートパンチボタンの下にある「選択範囲をパンチ区間に設定」ボタンをクリックします。
赤でパンチ区間が表示され、オートパンチボタンが黄色く点灯します。

 

手順2. 録音開始

そのまま録音することでパンチ区間外は録音されず、パンチ区間のみ録音されるようになります。

 

2.7 録音したトラックをオーディオファイルに保存

場所:トラック全体が選択状態で「ファイル」>「エクスポート」>「オーディオ」

①録音したデータをオーディオファイルに保存する場合、まずトラックを選択する必要があります。
トラック左上の数字が書いてある部分をクリックするとそのトラック全体が選択されます。その状態で「エクスポート」>「オーディオ」を選択します。

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②オーディオのエクスポート画面が開いたら「ファイル名」「チャンネルフォーマット」「サンプルレート」「ビット数」を指定して保存します。「サンプルレート」「ビット数」は録音設定・プロジェクト設定に合わせるようにしてください(オーディオエクスポートの詳しい内容は以下の記事で紹介しています)

オーディオエクスポートの方法

Cakewalk by BandLabのオーディオエクスポート画面では、ミックスダウン後のファイル出力だけでなくトラックごとのファイル出力もできるようになっています。また、タスクキュー機能を使うことで、複数の設定によるファイル出力を一度の操作で実行できます。
 

 

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関連記事まとめ

Cakewalk by BandLabの使い方

この記事ではCakewalk by BandLabの使い方について紹介します。
 

ボーカルミキシングの準備

このシリーズでは初心者向けに比較的簡単な操作でできるボーカルミキシングの紹介をします。カラオケ音源とボーカル音源をミックスするにあたって、ボーカルを目立たせることや曲と違和感なく一つにすることが重要です。ボーカルミキシングをおこなうにはまず準備が必要不可欠です。準備をするしないでは作業効率が大きく変わり、仕上がりにも関わってきます。今回はcakewalkの機能のみを使ったボーカルミキシング、その準備についてお話しします。
 

ボーカルトラックの処理

このシリーズでは初心者向けに比較的簡単な操作でできるボーカルミキシングの紹介をしています。前回はボーカルミキシングをするうえで必要な準備についてお話ししましたが、第2回目はミックスのために必要なボーカルトラックの処理についてお話しします。ボーカルトラックの処理はボーカルを目立たせ、なおかつ曲と違和感なく一つに融合させるために綺麗な状態にする工程です。
 

仕上げと書き出し

このシリーズでは初心者向けに比較的簡単な操作でできるボーカルミキシングの紹介をしています。前回までボーカルミキシングをするうえで必要な準備とボーカルトラックの処理についてお話ししましたが、第3回目は仕上げから書き出しについてお話しします。仕上げは曲の仕上がりを左右させる工程なため、こだわる人は納得がいくまで時間をかけてしまう部分です。また、書き出しも用途によってさまざまな方法があるので自分が使いたい方法を選んで使用する必要があります。